エブリワンNEWS 創刊号 '93Spring

ニュースの発刊にあたって 会長 倉田知典

 野にも山にも新緑したたるばかりのこのごろ、メンバーの皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

 さて、先月十一日に第二回総会も無事に終え、六月にはグループ結成から三年目を迎えます。【イチハラ ウィズ エブリワン】は昨年からメンバーが七十名に急増し、活動が活発になって行く中で、このたび《事務セクション》が中心となってニュースが発刊される運びとなりました。メンバー一人一人の貴重な意見が最近多くなり、またグループ活動に参加したくても都合がつかずなかなか参加できないメンバーの方々のためにも、大いに利用して頂きたいと思います。発刊にあたりまして、今後とも皆様のご協力を宜しくお願い致します。

第二回総会、開催される

 四月十一日に第二回総会が開催され、無事終了した。第一回総会とはかなりメンバーの顔ぶれも変わり、初めて見る顔も少なくなかった。

 去年度と大きく違う点はやはりサークルの規模が大きくなった事だろう。新たにニュース発行、スポーツセクション、学生セクションが加わり、内容もかなり発展したものになってきている。マップ作りも各メンバーともかなり手際が良くなり、最終的な目的をメンバーに自覚させ始めていると感じた。

 当日は会則や名簿。今までの活動報告、収支報告など分かりやすく書かれた資料を一人一人に配布し、総会自体スムーズに進行したようだ。ただ去年より活発な意見が減り、場所の関係かもしれないが少し真面目さが欠けていた部分も若干あったように感じた。

 役員選出に関しては、殆ど現行通りとなった。これまで築いてきた事を軸として頑張ってほしいと思う。そしてこの一年間、何があるのか予想もつかないが”みんなで頑張っていこう”と思える総会であった。(S)

千葉県こどもの国マップ調査

 総会が終わったあと、午後からは「県こどもの国」でのマップ調査がありました。曇りがちながら雨の心配はなさそうで一安心。

 正門前で日なたぼっこをしながらの待ち時間は、おしゃべり&ランチタイム。珍しい顔も見えて、「久しぶり」と旧交を暖める場面も。時間が来て、さあ入場。カラフルなパンジーが並んだ花壇、咲き誇っている沢山の桜、風に舞い散る花びら。春たけなわです。カラーブロックが敷き詰められた通路が、かわいい時計塔の前から左右に延びています。二手に別れて、調査開始。

 私が行った区域には児童館や遊びボックスなど屋内施設がありました。せっかく来たのに、雨でつまんない...も少しは解消されそう。じゃぶじゃぶ池ではすまして眺めていた『前』子供達もおもしろかったらしい(?)です。(暑ければ彼女達もあの池に入ってたんじゃないかな、なーんて『元』子供は思いませんでしたよ。)

 肌寒い風に負けたか、調査もそこそこに持参したバトミントンを始めようとしている準備の良いメンバー達。そんな仲間をよそに黙々と調査をまとめた班長さん、偉い!

 夕刻、芝生の広場で輪になってバレーボールを楽しんだあとは記念撮影。近くの男性がカメラマンを引き受けて下さって全員揃って「はい、チーズ!」4月の定例会が無事に終わりました。(T)

倉田会長のコーナー!!

『結成のきっかけ』

 私は五年前 県立袖ヶ浦養護学校高等部を卒業し、からだの障碍が重いために、現在まで在宅生活を余儀なくされています。家では、コンピュータを足で操作し、趣味を仕事としています。友人がほとんどなく、寂しい思いをしていた在宅生活一年目に 障碍者の友人の誘いで千葉市の障碍者運動等の活動に参加するようになりました。その後、市原市の社会福祉協議会を通して、ボランティア活動に参加し、充実した日々を送れるようになったのです。

 しかし、そのような活動に参加する中で、障碍者の意見の発言の場が少なく、健常者が運営している事に気付き、障碍者である私自身も何か行動をしなくてはいけないと感じました。これらの経験から市原市に健常者との交流、障碍者福祉向上、障碍者の自立と住み良い環境街作り等に障碍者と健常者が一緒に活動する運動グループを発足したいと思うようになりました。そこで気の合う仲間に呼び掛け、十二人の協力メンバーが集まり、一九九一年の六月に【WITH EVERYONE】が結成されました。

『グループの歩み』

 このグループは、障碍者と健常者ボランティアという関係では無く、魅力ある活動を行い、誰もが平等であるような地域社会を目指し、共に楽しみ助け合って活動して行こうというグループです。

 具体的にどんな活動をして行くのか色々と意見交換しながら、福祉マップ作りに決まりました。私は最初福祉マップというのは何だろうと思いましたが、話を聞いたり本で調べる中で、とても大変な作業だという事がわかりました。しかし、障碍者・高齢者等弱者にとってはとても意義のある行動と思い、取り組むようになりました。

 マップ調査を始めた時は人数が少なく、また調査内容も手探りの状態の中、とても不安でこのまま続けられるかと心配でしたが、少しずつメンバーも増え、皆も様子がわかるようになりました。

 マップ調査を続けていく中で、障碍者・高齢者等弱者にとってはまだまだ外に出にくい環境だと改めて感じました。私を含めた障碍者が、積極的にチャレンジ精神を持ち、市民の方達に理解・協力を得ながら、社会に参加して行く事が必要ではないかと思います。

『思い出』

 イベントでは、下見や準備など大変な面もありました。昨年夏の宿泊キャンプでは、テント張りや食事の準備で、予定通りいかなかったところもありました。しかし、その中で仲間と楽しく夜遅くまで話をしたりして、とてもいい思い出となりました。

『活動経歴』

 次に当グループの活動経歴を簡単に報告します。毎月半数以上が参加する定例集会では、昨年度は福祉マップ調査・点検・編集作業を中心に行ってきました。マップ作りでは一昨年、昨年と市内のJR三駅を点検し、その活動が新聞等にも取り上げられました。その後、三駅まとめた結果を市原市長との懇談会の席で報告、あわせて障碍者にも使いやすい施設にと要望したところ、JR八幡宿駅では駅舎改築にともない、障碍

者にも利用可能なエスカレーターが設置される等の成果を上げ、私達の大きな自信と励みになりました。

 イベントの方では、都立若洲海浜公園で行った宿泊キャンプをはじめ、葛西臨海公園・幕張メッセ日帰り旅行、その他に市原市社会福祉協議会主催の野外レクリェーション、市原市主催の交流ハイキング等にも積極的に参加し、グループ内はもちろん、他団体の方々とも交流ができ、昨年度は有意義で充実したグループ活動ができました。

『今年は...』

 今年度は福祉マップ作成にあたり、調査・編集の強化を図るため定例集会の数を回数を減らし、《マップセクション》が中心となって日曜以外の調査日を増やし、綿密にしかも内容を濃く、マップ活動に取り組んで行きたいと思います。

 また、定例集会は、《イベント・学生セクション》等が中心となり、交流や意見交換の場にしたいと考えています。その他にもスポーツレクレェーション・手話講習等の活動も行っていく予定です。さらに今年も他団体との提携を密にし、交流を積極的にして行きたいと思っています。

 今後はマップ完成に向けてさらに取り組み、行政機関・他団体との協力、またグループ内の親睦・交流を深め、魅力ある活動ができるグループにして行きたいと思います。《終》

 「今後ともみんなが共に頑張って行きましょう。」


 さて、ここでもっともっと倉田会長のことが知りたいという女性読者のために(?) 倉田会長のプロフィールを大公開しまーす!

《倉田知典会長のすべて》
氏  名 倉田 知典
生年月日 1970年3月29日
  おひつじ座
血液型 O型
身長・体重 170cm
 58kg
趣   味 コンピュータアート
将棋
カラオケ
『好きな女性のタイプ』 優しくて個性のある人。女優で言えば・・・

※ なお、編集部では今回の倉田会長の記事に関するご意見、ご感想はお待ちしておりますが、個人的なファンレターは本人に直接渡して下さるようお願いいたします!

私の「エブリワン」での意義 副会長 三浦

 私は縁があって、現在聾学校の寮で、聴覚に障碍のある子供達の社会自立に向けての「お手伝い」をしています。彼等と接している中で教えることより教えられることの方が多いように思えます。その一つをあげて、私がどんな思いで「エブリワン」の活動に参加しているのか話したいと思います。

 ある日、U君が私の近くで友人の何やら楽しい会話をしていました。彼等の会話は、ほとんど声を出さず、かく指文字や手話が早いためにどんな内容なのか私には全然理解できませんでした。自分もその会話に加わりたかったこともあり、何気なく「声を出して話しなよ」その上「何かヒソヒソ話をされているみたいだ」と話しかけたのです。(U君は口話ができ、こちらのつたない手話等を理解してくれます)そして返ってきた言葉が「(僕だって)先生達の話はヒソヒソ話です。同じことでしょう!」でした。みなさんはこの場合どう思い、考えるでしょうか?

 私は返す言葉がありませんでした。なぜか?言葉はU君の言ったとうりなのです。「互いにわかりあえれば、別に声を出さなくてもいいじゃないですか。先生に聞いてもらおうと話しているんじゃないし...。よけいなお世話です」と言われているように思えました。

 彼等のことを理解しているつもりでしたが、実は全然わかっていない自分に気付かされたのです。同じようなことが私と兄(障碍者です)との関係でもありました。兄に「障碍なんて関係ない、気にせずにいたら...」と言ったことがあります。その時、兄は「お前はわかっていない!」と一言いったきり黙ってしまいました。

 互いに理解することは本当にむずかしいことです。相手の立場に立って物事を考え行動する。それも自然に となると出来るようで出来ない自分があります。こんな私が「エブリワン」に参加しているわけですから多くの方々に迷惑をかけていることと思います、しかし、「頭でいろいろと考えたってしょうがない。みんなと行動を共にしながら、自分を変え、地域を変えていけたら」と考えています。

創刊おめでとうございます! 伊藤

 僕は、今学生セクションでリーダーをやっています。でも実際は倉田さんや、菊間さん、中谷さん、大木さん、柳沢さんに数多く助けられています。さて今回は、初めて執筆するということで自分の事について書こうと思います。

 1974年2月2日生まれ、B型、みずがめ座の19歳。現在は大学に在学し 冬はスキー、夏は海、春秋はテニスをする、そこら辺にいる大学生です。何故、福祉系の大学に進んだかというと、家から近かった事と、今から老年人口が増える為、その方面の仕事に就職すれば、食いはぐれがないだろうという安易な考え方があったからです。でも、大学に入って友達の誘いで東京や埼玉の方へ、重度障碍者へのボランティアへ出掛けるようになって少しずつ考え方が変わりました。

 彼らと、言葉は通じなくても雰囲気や動作で互いの意志が通じるようになった時には何とも言えない気持ちになりました。エブリワンの皆さんがそういうようになればすごくいいことだと思います。

 おしまいに、最後まで僕の下手くそな文章を読んで下さった方、どうもありがとうございます。これからも よろしくお願いします。

『一歩』 高澤


 パパは山歩きが好きです。煙と○○は、だまっていても高い所へ昇る。そう!!パパは大○○なんです。

 春浅い残雪の上に、母のぬくもりのような陽射しをあびて、一歩。じりじりと焼けつくような日ざしの中、汗をしたたらせてたちすくむ。かさかさと落葉舞う、名もない小道で、ほっと一息。草木も凍る真冬時、純白の雪面に2すじのシュプール。

 道ゆく人とことばを交わし、日が暮れたら本日ここまで。メシ食って寝袋にもぐりこむ...勝手気ままな一人旅。鍋釜しょって、米持って、ついでに家がわりのテントに寝袋。つまりは乞食のお引越しなんです。

 でも、こんなことばかりではありません。3人、4人、あるいはそれ以上の人数で出掛ける時、みんなが好き勝手に歩いていたのでは、バラバラになってしまいます。早い人にペースを合わせていきましょうか?それでは遅い人はどうなっちゃう?予定の半分も行かないうちに、バテたり足が痛くなって、歩けなくなってしまうでしょう。では逆に、遅い人にペースを合わせてみましょうか。

 早い人はゆっくり歩いてもバテないし、荷物が重そうだったら持ってあげることもできます。ベテランが先頭に立ち、間にペースの遅い人をいれ、しんがりはリーダーが務める。バテた人はいないかな?クツずれやマメのできた人は?これから先、登りがきついから荷物をこっちに移して。あと少しで山小屋だからガンバレ!

 途中、体調が悪くなり、全行程歩けなくても、悪天候で山頂までたどりつけなくても、全員無事出発地まで帰って来なくてはなりません。山の中には、電車もバスも走っていません。テレホンカードがあっても電話は無い。お金があっても使う所がない。いざという時でも、人ひとりの力で乗り越えて行かなければいけません。

 日常生活でも、山歩きと共通する点が多いと思います。力の弱い人への歩み寄り。周りの人々への、あるいは物への思いやり。たとえゆっくりでもいいから努力する人、少しでもいいから前へ進もうとする人、そんな人が好きです。そんな人と、一歩一歩あゆんでいきたいですね。

 《付録》文中の○○には、どんなことばが当てはまるでしょう?正解の方には、目からお星様の出るような、素敵な(?)プレゼントを著者の高澤さんが下さるそうですよ。

 高澤さんのすてきなエッセイ、いかがでしたか?ご存じの方も多いと思いますが高澤さんのことを説明します。高澤さんはエブリワンの副会長。とっても文章を書くのが上手で、女性にもてもて?のナイスガイなのでーす。もっと詳しいことを知りたい!という希望が過半数を超えたら、次回は高澤さんの特集を組んじゃいまーす。

『編集部からのお知らせ』

 エブリワンニュースでは、皆様に募集したいものがたくさんあります。何を募集するかっていうと ◎今回掲載された三浦さん、高澤さん、伊藤さん達の書いたようなエッセイ、随筆、自叙伝など。◎エブリワンの活動に対しての意見、助言、問題提起など。◎あなたの家庭で、学校で、職場で流行っている一発ギャグ。◎誰にも言えない恥ずかしい話や誰にも見せられない恥ずかしい写真。◎個性的なイラスト。基本方針が「なんでもアリ」のエブリワンニュースですので、この他にも載せてほしいもの、やってほしいことなどありましたらどんどんご意見をお寄せ下さい。

『編集後記』

 創刊第一号、いかがでしたでしょうか。何もかも初めてづくしで手探り状態のまま、発行にこぎつけたという感じがします。だから少々お見苦しい点があっても大目に見てやって下さいね(笑)。

 次回からは、より一層努力奮闘いたしますので、どうかよろしくお願いいたしまーす。それでは、次回93/夏号でお会いしましょう。《編集部一同》