障害の壁超え友情育て10年

障害を持つ、持たないという壁を超えて友達づくりを目指す会「市原ウィズエブリワン」が活動を始めてちょうど10年になった。重度の障害を持つ市原市青葉台4丁目の倉田知典さん(31)を中心に友人ら11人でスタート。今では会員数が150人を超える。「健常者と対等な友人関係を持ちたかった」という倉田さんの願いは、ほぼ実現している。

 倉田さんは生まれつき肢体が不自由で、食事やトイレ、着替えが一人ではできない。しかし、パソコンが得意で、ドライブをしてキャンプや旅行に行くのが好きだ。
 「エブリワン」を始めたのは「自分自身がひとりぼっちでさびしかったから」という。兄(33)は「生まれた時から全然違っていた」。多くの友人に囲まれ、高校では甲子園を目指して野球に打ち込んでいた。恋愛の話を聞くたびにうらやましかった。
 倉田さんが小学校から高校まで過ごした養護学校は楽しいけれども、社会との交流はない。卒業後、就職先を探してもどこにも受け入れられず、自宅にこもっていた。養護学校が自宅から離れていたため、地元に友人はいない。仕事もない。半年ほど「ひとりぼっち」だった。
 「当たり前の生活をしたい。ぼくだって青春を送りたい」。そう思って市役所や社会福祉協議会に相談し、イベントに参加した。しかし、イベントが終わると健常者は反省会と称して自分たちだけで飲みに行ってしまう。「僕たちもカラオケに行ったり、電話番号を交換したりしたいのに、障害者はイベントが終わればそれでおしまい」と疎外感を味わった。
 「障害者と一緒に過ごすことは、健常者にとってはその時だけのボランティアなんだ」と気づいた。健常者とも仲良くなりたい、長くつきあえる友人になりたいと、「だれでも一緒に」という思いを込めて会をつくった。
 会では、健常者と障害者が一緒に過ごすことを一番大切にしている。月に一度の集まりは出会いのきっかけ。触れ合う機会が重なると、健常者と障害者、互いの思いが伝わる。人と接するのが苦手で登校拒否だった子の顔が明るくなった。障害を持つ高齢の女性が化粧をはじめた。
 福祉活動にも力を入れてJR姉ケ崎、五井駅周辺を一緒に歩き、点字ブロックの上にあったポールの撤去や、エレベーターの設置を提案するなどしてきた。
 倉田さん自身の活動も幅が広がった。市原市の小、中学校やヘルパー養成講座、ボランティアセミナーなどで積極的に講演活動をしている。県の身障者相談員にもなり、電話などで悩みの相談に乗っている。
 「活動の場は広がっても、エブリワンから始まり、今の自分がある」と、今後もエブリワンを中心に活動していくつもりという。問い合わせは、事務局 (eve-info@mail.goo.ne.jp)まで。

2001年7月4日号
朝日新聞ちば版(千葉県内版)に掲載して頂いた

その後・・・ 2001年7月7日

 新聞掲載後 エブリワン内・外の皆さんから色々な御意見を頂きました 多かった意見は 互いに継続的に触れ合い 真で心通じ合おうという目的がとても感じられ良い また今の時代に最も求められていると言う感想でした

 エブリワンの最大の目的は 真の仲間作り もう一度初心をふりかえり 中村記者にお話しさせて頂き記事にして頂きました 
エブリワンで言う真の仲間作りとは 本来 互いに触れ合い続ける中で 対話し接点を見つけ増やして行く事で 相手の気持ちを理解し相手の気持ちをわかり合い 心から互いに尊重するという大切な事が秘められていると思います 単なる口先だけの気軽な仲間作りの目的のエブリワンでは無いということ その秘められている部分を私達は実践努力して 社会にも輪を広め またその手段として福祉等やイベント等のきっかけとなる活動を皆でして行こうという事ではないでしょうか
おかげさまで 10年活動して来ました 世の中少しずつバリアフリーにはなって来たものの 心の壁はまだまだ とても厚いまま また社会を見まわしてみると より心足りぬ世の中になっているようにも思います 犯罪などが多くなってます
そういう時代の中で 単なる主に福祉という事だけではなく エブリワンは 心のハーモニー というテーマを持つ 心を大切にする福祉団体ではない 市民活動団体です 
 今後少しずつ少しずつもっと大きい意味で考え行動出来たらと思います
 皆さん どうぞ今後とも宜しくお願いします

最後に 7月7日に中村記者から 掲載記事等とお手紙を頂きました 感謝

  

記 倉田知典