私がエブリワンを知ったのは、昨年の夏でした。友人と高滝湖へ遊びに行った時、たまたま入館した『水と彫刻の丘』で障碍者(しょうがいしゃ)の作品展が開催されていました。会場にあった エブリワンメンバー募集 のはり紙を見ていたら、後ろから「興味ありますか」と会長の倉田さんが声をかけてきました。
私は以前からボランティアに興味を持っていましたが、これまで活動の機会はありませんでした。学生の時、保育士の免許を取得するために知的障碍児の施設に研修に行ったことがあります。その時、将来はこのような仕事に就きたいとも思いましたが「結婚したらやめるかもしれない」というような甘い考えではこの仕事は出来ないとも思いました。
慣れないと少々聞き取りにくいおしゃべりでしたが、耳を近づけてお互い話をしました。倉田さんは、エブリワンは私が思っているような「何かしてあげる」意識には限界があること、対等の立場になることで初めて見えてくるものがあること等、ていねいに説明してくれました。エブリワンの考え方を聞いて、とても納得してしまった私ですが「じゃあボランティアって何なの?他のエブリワンのメンバーも本当にそう思っているの?」実際の活動で確かめてみたいと思いました。そして、エブリワンの活動 ウォークラリー に参加する事を約束しました。
場所は市役所周辺の国分寺台。障碍者1人、健常者3人の4人一組のグループに分かれてのウォークラリーでした。私たちは交替で倉田さんの車椅子を押して走りました。ちょとした坂道や数段の階段でも、とても大変でした。「こういう時はこうすればいいんだ」と、倉田さんの指示に従って3時間あまり。みな汗びっしょりになり、私たちのチームは見事1位でゴール。初対面の人たちばかりなのに、みんなの気持ちがひとつになりました。倉田さんは体格も良く重かったので大変でしたが、何よりも楽しかったというのが私の感想です。あの時倉田さんが話しかけてくれなかったら、エブリワンの存在もこのような体験をすることもなかったでしょう。
昨年の4月から、私は倉田さんも住んでいる青葉台の幼稚園で働かせていただいています。この一年、学生とは違う社会人としてのマナーや責任をいろいろ勉強しました。そして昨年のエブリワンでの体験は、仕事とは別に私にとって貴重な経験となりました。いまの私は一人前の社会人になるのに一杯いっぱいで、エブリワンの活動にもなかなか参加できません。でもエブリワンは私を待ってくれています。これからは、私の体験を子どもたちにも伝えていきたいと思っています。
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