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記 事
読売新聞 2008年5月18日
足の指で社会と交流 「障害が個性」
市原の倉田さん 開設HPが県コンテスト入賞
左足の親指でHPを作る倉田さん(市原市の自宅で)
上半身に重度の障害がある市原市青葉台の倉田知典さん(38)が、県の「誰でもつかえるホームページコンテスト2007」で「努力賞」に輝いた。運営するインターネットのホームページ(HP)は、8年余り前から足の指を使って作成・運営しているもので、「三日坊主で終わるはずだった」(倉田さん)のが、励ましのメールに後押しされて今では「やみつきに」。受賞を励みに倉田さんは「周りの支えなしには生きてこられなかった。元気のわくメッセージを送り続けることで恩返しをしたい」と、新たな気持ちでパソコンに向かっている。
倉田さんは未熟児として生まれ、先天性の脳性小児マヒにより9歳まで寝たきりだった。その後はリハビリを重ねて数歩なら歩けるまでになった。しかし首や両手などは思い通りに動かすことができず、養護学校卒業後は、自ら障害者を支援するNPO法人を設立して活動に励んできた。
社会との接点が増えて「障害さえなければ、もっと色々な出会いがあったはず」との思いを抱くようになったころ、友人にHPの開設を勧められた。1週間かけて作り方を教わり、30歳の誕生日に開設にこぎ着けた。以来、8年以上にわたり更新は毎日続けられ、閲覧者数は14万人を超えた。
26センチの左足の親指でマウスを動かし、キーボードの小さなボタンを押す。カナ入力にして押す回数を減らすなど工夫もしているが、1文字打つのに3秒かかる上、時間の経過と共に上半身が硬直して鈍痛に襲われる。それでもHPの閲覧者が増えれば「知らない誰かとつながることがうれしい」と苦労も吹き飛ぶという。その中の数人とは実際に会い、現在も交流が続く。
現在までに100通近い激励のメールを受け取った。「足で書くなんてかっこいい」と褒められた時は、「障害が個性として認められたようで誇らしかった」。また文面が「私も頑張る」などと前向きな表現で終わっていると「頼ってばかりの自分が、人の役に立てた」とうれしくなるという。審査でも「素直に書かれていて共感できるし、励まされる」と評価された。
HPを通して友人ができたことに加え、学校などに招かれてこれまで80回近くの講演もこなした。人前に立つたび、健康のありがたさや支え合うことの大切さを伝えてきた倉田さんは「HPが多くの出会いを与えてくれた。受賞を励みに、更新を続けていくことで障害者への理解を深めていきたい」と話している。
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YOMIURI ONLINE
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( 2008年5月18日 )
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記 事
朝日新聞 2008年4月20日
足の親指使いHP/市原の倉田さん
足の指でキーボードを操作する倉田さん
お年寄りや体が不自由な人でも使いやすいホームページ(HP)づくりを競う県主催の「誰でもつかえるホームページコンテスト」で、市原市に住む倉田知典さん(38)のHPが努力賞を受賞した。両手が不自由な倉田さんは、足でパソコンを操作してほぼ毎日更新。「使いやすさの追究を感じさせる内容」などと評価を得た。倉田さんは「HPは自分の分身。これからさらに充実させたい」と受賞を喜んだ。(小沢邦男)
倉田さんは未熟児として生まれ、全面的に介添えが必要な重度肢体不自由だ。養護学校(現在の特別支援学校)を卒業後、「もっと当たり前の生活をしたい」と市役所や社会福祉協議会の催しなどを通じてできた友人らとサークルを結成。地元の公共施設の使いやすさを調べた「福祉マップ」を作るなどして活動の幅を広げた。大学や専門学校、企業にも招かれて講演活動に取り組んでいる。
もっとも、自由な外出はままならない。「ならば自宅にいながら自分の情報を発信したい」と、パソコンに精通した友人に習い、8年前の誕生日である3月29日にHPを立ち上げた。
「書くのは苦手」で、当初は日記のようにその日の出来事を書きとめておく程度だった。だが、日ごとに増すアクセス数を示すカウンターを確認するのが楽しみになり、内容を充実させるため、パソコンに向かう時間は長くなったという。
県内をはじめ全国各地で講師を務めた講演について、受講者の感想を掲載して内容を紹介している。地域福祉や市民活動、教育、人生観など各地から「HP見ました」と新たな講演依頼が舞い込んでくる。「HPのおかげで、縁のなかった地域や企業などの新しい知り合いができる」。問い合わせが寄せられると、何にも増して励みになる。
また、生まれてから現在まで写真やプロフィルを詳細に紹介する。体が不自由であることを中傷する書き込みをHP内の掲示板にされたこともあったが、「ありのままを載せることで自分の信頼度を増したい」と意に介さない。両足の親指を使い、かな変換で1文字入力するのに数秒。根気と体力を要するがやめたいと思ったことはない。
インターネットを悪用した事件が絶えないが、「見る人の心を癒やすHP作りを心がけたい」と倉田さんはいう。
コンテストは04年度から始まり、4回目となる今回は県内在住・在学の個人や団体から計12点が寄せられた。倉田さんのHPのアドレスは
http://www.skz.or.jp/taiwa
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asahi.com 朝日新聞ホームページのトップに紹介されました
「 マイタウン(地域情報)全国アクセスランキング 4位 と 2位 」
( 2008年4月21・22日 )
問合せ E-mail tomonori.taiwa@gmail.com
倉田知典