3月01日(その8)深夜のキック (カマル→エルロサリオ)
*** '98年3月1日 晴れ *** のつづき その8「深夜のキック(カマル→エルロサリオ)」 現在地を確認するために道路にある標識を見つけては 地図と照らし合わせては標識の地名は地図にはない。 きっと小さい集落なんだな、と考え走るがしばらく走るとまた 同じ名前が.... 地域名と思っていた標識は、実は“この先注意”の看板であった事に気付く。 あらっ?! クラッチの様子が少し変。 アクセルをひねるとエンジン音の後に加速を始める。 滑ってるのかな〜。 あと4日も残っているのに。 急加速をやめて静かにアクセルを開けていく。 2つ目のにぎやかな街を過ぎた(後で解ったがサンキンティンという街らしい)。 そこから30km以上走るが何もない。 地図では海沿いの道を南下していく。 何だか山の方へ行っているみたい。 じゃ、さっきの街がエルロサリオ? 途中で不安になり、同じ道を何回か行ったり来たりする。 何度目かのUターンをしたところでエンスト。 辺りを暗闇が支配する。 かすかに波の音がする。 地図で確認するとエルロサリオまでのR1は海岸線近くを走っている。 何だ。間違えてないじゃないか。 暗闇の国道で、慣れないキックをしていると車が止まった。 おじさんが窓から顔を出して何か言っている。 スペイン語は解らない。が、基本は挨拶からと思い、 「ブエナス ノチェス!」(こんばんは) エルロサリオはどっち?と聞きたいが単語が解らないので 「エルロサリオ、プレファボール?」と言い、指を進行方向と 僕が走ってきた方向を指した。 おじさんは変な顔をしていたが、進行方向を指した。 僕はもう一度進行方向を指差し 「エルロサリオ?」と聞く。 おじさんうなづく。 「グラシャス」とお礼を言っておじさんと分かれ、XRに渇を入れて 先へ進む。 大分走った。小さな村に着いた。 タンクを見ると残料が少ないので、 またPEMEXでガソリンを入れようとバイクを止めた。 すると暗闇から「お疲れさま」と聞きなれた日本語が聞こえた。 主宰だった。 そして通り過ぎようとした、その小さな村がエルロサリオだった。 良かった。 何とか宿に着くことが出来た。 バイクを裏から中庭にいれ、鍵を掛けた。 バイク着から着替えをした。 宿へ無事着けたためか急にお腹がすいた。 しかし、レストランなどは当に終わっている時刻である。 ああ、飯がない..... その時ふと閃いた。 ポケットに昨日のパンを入れていたことを! 僕は昨夜の残りのパンに主宰と永原氏の食べ残した サルサソースを付け胃袋に押し込み、シャワーも浴びずに すぐに深い眠りに落ちた....